前回、日本にお香が伝来してから、薫物というお香が流行った平安時代で終わりましたので、そのつづきです。よろしければ、<前編>もどうぞ。
平安時代から続く、お香黄金時代の『鎌倉時代』。
今ちょうど大河でやっているあの時代です。平穏な貴族社会が武家社会へと変化し、平清盛が源頼朝に敗れ、鎌倉幕府が誕生。ここで武家政権となったのです。
そして、仏教の思想が変化し、新たな新興仏教が誕生しました。お香の歴史は仏教と密接に関わっているためここでは仏教のことにもふれておきます。
今までは朝廷や貴族だけの仏教が庶民にも広がって、各方面に影響を与えたとされています。
浄土宗・・・・・開祖法然上人
浄土真宗・・・・・開祖:親鸞聖人
時宗・・・・開祖:一遍上人
臨済宗・・・・・開祖:栄西禅師
曹洞宗・・・・・開祖:道元禅師
日蓮宗・・・・・開祖:日蓮上人
上記の宗派は、例えば、臨済宗や曹洞宗などは座禅修行が中心でとても厳しいとか、阿弥陀如来信仰(浄土思想)を中心にしている融通念仏宗・浄土宗・浄土真宗・時宗と庶民にも広まったという特徴があります。
この時一緒に生まれたのが、沈香木(伽羅)。ただ一木のみを用いるお香なのです。これを「沈一種」と呼び、鎌倉時代後期より流行になったそうです。
現代は、聞香などでこのシンプルな洋式で良質な沈香の香りをききますが、なんとも贅沢な手法であります。
この時代に出てくる佐々木道誉という婆娑羅文化を代表するサブカル好きの変人とも言われた、独特な人物がいたらしくてわたしはとてもこの方に興味があります。
道誉は、和歌、連歌、猿楽、茶、お香と文化的なものを好んでいて、お香にはじめて「銘」をつけたとされていて、『香道の始祖』ではなんて呼ばれていたとか。かっこいい❤️
この頃中国との貿易が盛んで良い香料が手に入っていたようです。公家の練香、武家の沈香と時代が変わって、お香の歴史も変わったきました。
それからの「南北朝時代」〜「室町時代」は、香木が権力の象徴とされる贅沢な時代となります。
次は、足利義満(北山文化)から、足利義政(東山文化)と時代が動きます。
足利義政はのちの日本文化に大いに影響を与えた人物であったそうです。日本三大芸道の「香道」「華道」「茶道」をはじめ「能楽」「作庭」「連歌」と成立していきました。
足利義政は、香道を成立させた『香道の始祖』であります。そして、
志野宗信が、『志乃流』
現在まで継承が続いております。
さて<中編>のラストを飾るのは、ご存知かの有名な武将信長と秀吉の「安土桃山時代」です。
ご存知ですか?これ?! 👇
(*写真がないので、あやか画伯の画で堪忍💦)
全長156cm、径43cm、重量11.6kg
9世紀のベトナムから運ばれたとされています。
名香中の名香と言われ、特別なものとされて現在も正倉院に残っています。
38箇所切りとられた跡あり。50回以上は切りとられたと推定
切り取った人間は、足利義満、義政、織田信長、豊臣秀吉、明治天皇と記録されている香木なのです。
どう転がっても一生聞くことのできない香りですね。
と人々に見せつけたわけです。やる事かなりエグいです。
その後、秀吉の時代になります。
秀吉は千利休との関わりが多く「茶道」と関わり深いお香にも精通していたのではと言われています。
実際香木をどれほど所有していたのかは記録がないようですが、家康が引き継いだ豊臣家所有の「大阪物 明製螺鈿経箱」に香木が多数収められていたと徳川家の記録があったそうです。
秀吉所有の大名物「千鳥の香炉」は徳川美術館に現在収蔵されているそうです。
以上でお香の歴史<中編>を終わります。
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